第1回専攻レッスン(4月28日〜5月3日)

今回、5月14日にりゅーとぴあで公開レッスン&コンサートで講師としてお迎えするアンドレイ・ミキタ先生がご指導くださいました。

J.S.Bach/Das Wohltemperierte Klavier Teil U Nr.20  BWV889]について

楽譜はいろいろな楽譜の版がある。ムジェリーニは20世紀初期に生きていた人でとてもよい楽譜を残した。原典版はバッハが書いたとおりの楽譜である。当時の流行や趣味によって版が作られてきた。

この内容に応じて音楽の一部がシンボルになっている。この作品は十字架のシンボルがあり、釘で張り付けられた意味で十字のようにメロディーに沿っている。プレリュードもフーガもキリストの最期が示されている。ローマ帝国の裁判官がキリストに死刑を宣告した、その言葉がメロディーになっている。叙情的な要素がまったくない。だから、死刑を言い渡されたところを想像して弾くべき。このような重い内容はアッチェレランドをかけてはいけない。イントネーションが大事で、十字架を背負ってうめきながら歩くように、簡単に弾いてはいけない。

フーガの形式(構造)を理解し、提示部も展開部も1つの流れの中で弾いてほしい。1つの意味を説得していくものである。また、焦点がぼやけるようにディミヌエンドしてもいけない。32分音符は民衆の死刑を喜ぶ声を表しているので音楽を止めずに力強く弾いほしい。

フーガはどこかでpを入れてよい。mpやmfはバッハの時代にはない。2本の弦をは弾くのか4本の弦を弾くのかというような古典主義的な弾き方を思い浮かべるとよい。ということはロマンチックな要素は全くない。遠くから見ているようなpほしい。ただ、即興的な部分はゆっくり弾いてよい。絵画の下にある画家の署名のようなもので、テンポがない感じ。音楽の波を作ってほしい。


講師:アンドレイ・ミキタ先生