○ドビュッシーやラヴェルの音楽は、光と影の描写・対比や、水の流れをイメージする。

○光の輝きでも、花火のように前面に出る光と、隠れて光っているものと違いがある。音色でもそのニュアンスの違いを意識すること。  

○フーガなどのように声部に分かれている音楽では、各声部ごとのイントネーションの違いがきちんと出るように弾く。

○(バッハの平均律にて)ポリフォニーの中での長い音符は、建物で言えば土台や柱。長い音符をよく響かせて土台を造ることで、ポリフォニー全体を支えてほしい。

○バッハのコラールをピアノ独奏用に編曲している楽譜がある。(ブゾーニ版、フェインベルク版)それらを勉強してみると、平均律クラヴィーア曲集の音楽と、バッハのコラールがどのように関係しているかよく分かる。

○指変えのために音楽が切れてしまうのはポリフォニーの本質としては正しくない。4・5のように手の外側に付いている指は、手首も一緒に移動させてレガートにする。
それくらい、ポリフォニーの中での長い音符の存在はとても重要なもの。ショパンなどの作品にもこういうテクニックは多く必要になる。

○指番号(指遣い)は、弾きやすくなるためだけでなく、曲の構成やポリフォニーの成立のためにとても重要。

21世紀の楽器で演奏する場合でも、バッハが生きていた頃の楽器のことをよく理解することと、ポリフォニーの本質から反れないことが大切。

○バッハの音楽は天才的に素晴らしいので、21世紀になりまったく楽器が異なっても未だ愛され、現代の楽器でも演奏できるような音楽になっている。

○練習の哲学として、曲の中で一カ所でも1つの注意点を正しく理解する(基本となる鍵をつかむ)と、そこ以外の箇所でも理解したことを応用して正しく演奏することができる。

○主題以外の部分(フーガの推移部など)も、声部と声部のつながりを大切にし、常にどこへ向かっているのかを意識して導き続けてほしい。

○3声部以上のフーガのとき、外声2声を弾きながら内声を歌う練習をするとよい。 内声は一番難しく、左右の手で交互に演奏するためよく勉強する必要がある。

○必要なことは、全て楽譜に書いてある。ピアニスト(演奏家)は、楽譜に書いてあることを全てくみ取って、作曲家の意図を再現しなくてはならない。

○ロシアのピアニスト・ソフロニスキーは、「楽譜をきちんと読み込むだけでなく、自分の感性・想像力を演奏に入れなければならない」と言っている。

○ピアニスト(演奏家)がいなければ、作品は存在しない。お客さんに作品を届けるために演奏家がいるので、演奏家はお客さんを説得しなければならない。

○演奏家が謎を解くように楽譜を解読し意図をくみ取ることと、そこに演奏家自身の感性をきちんと共存させることが大切。

第11回専攻レッスン 2/3〜2/6

講師:ベニヤミン・アンドレーヴィチ・コロボフ先生