【平成26年6月10日(火)〜12日(木)】

講師:アルチョム・アガジャーノフ先生

 今回は作曲家の視点で、理論的に大変わかりやすいレッスンが好評のアガジャーノフ先生にレッスンをお願いしました。レッスンの中でプロコフィエフのソナタを取り上げた際、実際にアガジャーノフ先生のお父さま(ピアニスト)がプロコフィエフに会って作曲を依頼した事など貴重なエピソードを加えながら、作曲家はどういう意図で作品を生み出しているか、お話ししてくださいました。

 また、「トロンボーン、ティンパニなどピアノでオーケストラの楽器の音色を表現できるほどの音質の幅を持つべきで、そのためには指の力が必要である、しかしそれは力むのとは違う意味である。」「自分の近くの音を聞いてはいけない。ホールにどのような音が響き、残っているかを聞いて弾くこと。」「べートーヴェンは本質的には非常にシンプルで、テンポ・リズム・意志の3つがあればいい。(音色もあるが・・・)それを正確に弾けるように。」「曲は常に和音でとらえて練習すること。」「fとpはもっと極端に弾くこと。若者は大抵中くらいで弾くことが多い。」「ベートーヴェンは鍵盤を強く叩く前に一瞬力を抜いてハンマーで打つ(手首を金属にする)しかし、ショパンは力を抜かなければならない。」「バッハは小さな音でも表情豊かにイントネーションをつけながら弾くこと」「ポリフォニーは、両手の関係性を断ち切らなければならない。ゆっくりと正確に重さの違いを感じること。全ての意識の中に全ての旋律を入れつつ、違う性格を弾き分けること。」など、先生の温かなお人柄と指導力に引き込まれるようなレッスンでした。