今年度最後のロシアンメソッド専攻レッスンは、チェファーノフ先生をお招きしました。
チェファーノフ先生には、昨年12月のモスクワ研修旅行でもレッスンをしていただき、またクリンのチャイコフスキーの家で、チャイコフスキーのピアノを使用して演奏してくださるなど、大変お世話になりました。
今回は1,2年生の主専攻試験の前で、緊張してる生徒達に、エネルギッシュに、そしてわかりやすくご指導してくださいました。
【ドビュッシー/水の反映(映像Tより)、塔(版画より)】
- まずは印象主義の特徴を知る。ゴッホやモネの絵画を参考に。
- 映像の効果を耳でよく聴いて、ピアノで表現する。
- レガートの表現の時は、手をマグネットだと思って鍵盤から離さないで弾く。ハーモニーを保って。
- 色をつけるように弾く。
- 腕はネコをなでるように優しく、柔らかく使って。
- (塔)右手のオクターブの動きで雲を作るようにイメージして。(日本の神社のような場所をイメージして弾くのもよい)
- P(ピアノ)とPP(ピアニッシモ)との差をつける。
【リスト/軽やかさ】
- エチュードだけれど、しっかり弾きすぎないこと。
- 動きに軽やかさを。
- 音楽をどんどん前に進める。流れるように音楽を止めない。
- 音が上行する時は、気持ちを高揚させて。
- 和音のそれぞれの音がしっかり鳴るバランスを考えることが大切。
【バラキエフ/ひばり】
- グリンカの歌曲をピアノ曲にしたもの。
- 上行のパッセージには「真珠の技術」が必要。それはレッジェーロで、均等さ、軽さが必要。
- J.フィールドのノクターンやショパン、リストなどの作品に共通するものがある。
- 冒頭のテーマは呼吸を感じながら急がないがとどまらないで。
- うでをふりすぎず、指と連動させて。
- 歌曲なので、バッハのように荘厳にしなくてもいい。
- 1840年頃、ロシア語は農民だけが使用していた。宮廷ではフランス語を話していた。(トルストイも「戦争と平和」を半分はフランス語で書いていた)このフランス語のニュアンスが必要になってくる。
- バスを軽く。重い支えではない。バスを見せない。
- 「空と地面のあいだにひばりがとどまっている」という歌詞のメロディ−。出だしをしっかりすると、イントネーションがおかしくなる。メロディーを、水を丁寧につつんで運ぶように。左手は受け皿にして。
【スクリャービン/ソナタ第2番】
- ホールで弾くときのことを考えて、p(ピアノ)でも聞こえるように弾く。大きくて空虚な感じで。
- 第一楽章冒頭は、跳ねるボールが徐々にバウンドする感じ。
- その後続く歌の上声部は、少しだけespressivoで(cantabileではなく)。
- 左手のオクターブの動きはレガートで。また右手の歌のスタッカートは「重さを減らす」「軽く」の意味。
- 左手のアルペジオは煙や霧のように消える。ペダルを離す時、はっきりとは分からないようにする。右手の内声部は音響技術のように即興的に。上声部の旋律はマルカートで。
- 頂点に向かってその前にrubatoするのではなく、ブレーキをかけながら均等に弾いていくこと。16分音符は少し落ち着いて弾いたほうが良い。
- 第二楽章:フレーズが下に向かうときに急いでいるので気をつける。
- 「強弱」以外の「タッチ」に気を配る。p(ピアノ)でも、もっとより重心をかける感じで。また上声部のフォルテが鋭く響くように弾く。例えば氷を持っていると手が痛くなる、そんなイメージでもっとはっきりと。
- 大事なのは、作曲家の楽譜のペダル、声部はこび、リズムに加え、演奏者としての個性。
- この曲の様式を考えて、プロコフィエフのように鋭く弾かないこと。即興的に書かれているが、三連符と四連符、三連符と五連符は絶対に分かるように弾かなければならない。