【変奏曲　WoO77／L.v.ベートーヴェン】
　　

• 高い手首（富士山）から、平地を作る。手首が下を向くように。
• メロディが6度のハーモニーから一声になり、音域が上がる場面では、少し光らせて（右手の分量を増やして左手を減らす）コントラストをつける。
• モーツｱルトは細かいイントネーションの作曲家、ベートーヴェンは大きいコントラストの作曲家。

• 左手の二声のハーモニーはオーケストラのホルンなどをイメージし、legatissimoで弾く。次へどのような動きをしているか感じて、弾いた後の音を管楽器のように引張る。
  右手の付点のリズムは書かれたとおりに弾く。三連符にならないよう、十六分音符で細かく感じて。

• 同音が連続するメロデイは、最後の音に向かって弾く。
• 左手の二声の和声をつなげて弾くことは物理的には難しいが、「レガートを聞きたい」と「耳でつなげよう」と感じれば、つなげることができる。

• Var.1の八分音符２つが連なるメロディは、lamentoのイントネーションを感じて弾く。MozartのLacrimosaと同じように。
  

　【ソナタ　Op.１０−３　第一楽章／L.v.ベートーヴェン】
　

• 冒頭の上行形と下行形にコントラストをつけて。下行形は内声から始まるので強くなりすぎないように。
• 左手の３度の以降はレガートに。（指の重さを次の音へ、イントネーションをつけて移行させる）
• ゆっくりなテンポで片手ずつでペダルなしで練習することが、レガートを作るためには必要である。手の力をぬいて重さを感じて、重さの配分で上声と内声のコントラストをつける。
• ペダル無しで練習し、耳でつなげることで、指がレガートの概念を習得することができる。ラフマニノフはほとんどペダルを使わずに演奏した。
• オクターブの移動はアウフタクトだと分かるように。
• ベースは肩から体重も使って柔らかく。上行はクレッシェンド、下行はディミヌエンドするように。
• 左手の分散和音は小さく柔らかく均等に。そのためには左手だけスタッカートで練習してみる。その際、指を鍵盤に近づけたままアクティブに鍵盤を刺すように、手首ではなく指で弾く。
• 鍵盤のふたの上で弾いてみることで、どれだけ均等になっているか確認することができる。

【バラード　第２番　／F.F.ショパン】

• 最初の音のイメージを持って。（柔らかく、空気感があるように）
• アウフタクトで始まることを意識して。
• メロディーが出てきた時に、左手は意識しないくらいに自然に。その分メロディーを響かせて。
• テーマの16分音符の音が飛び出さないように。
• レガートというのは一番難しいものの一つ。なめらかに手の動きを一つの指から次の指に、指の重さをかけてイントネーションを次に移行させること。音をつなげるだけがレガートではない。ゆっくりなテンポで、上声部に重さをかけて練習する。
• 減７の和音はバッハの時代からドラマチックに弾く。
• さまざまな和声（の種類）を同じように弾かない。でも速さをかけるのではなく、表現で変える。

講師：アントン・イグブノフ 先生

第５回目のロシアンメソッド専攻レッスンでは、リュトゥコフ先生に引き続き、新潟中央高校でのレッスンが今回初めてとなるイグブノフ先生がレッスンしてくださいました。
まだ20代でいらっしゃる先生ですが、レッスンでは輝くような音色で演奏してくださり、的確なアドバイスをしてくださいました。